特定技能所属機関とは?求められる基準や登録支援機関との違いも解説

特定技能所属機関とは?求められる基準や登録支援機関との違いも解説

「特定技能所属機関ってなに?企業が外国人を雇用するときに何をすればいいの?」
「登録支援機関との違いがいまいち分からない…」

このような疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか?

特定技能所属機関とは、特定技能外国人と雇用契約を結ぶ事業主のことです。特定技能所属機関としての基準を満たさなければ、特定技能外国人を雇用できません。

登録支援機関に支援を委託せず特定技能所属機関になるには、労働法の遵守状況や受け入れ実績など一定の基準を満たす必要があります。基準を満たしているかは、外国人本人の在留資格の審査で確認されます。

本記事では、特定技能所属機関の役割や認められる条件を詳しく解説しています。登録支援機関との違いを示したうえで、登録支援機関に外国人労働者の支援を委託するメリットも紹介しているので、参考にしてみてください。

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目次

特定技能所属機関とは「特定技能の外国人を受け入れる機関」を指す

汎用

特定技能所属機関とは、特定産業分野の受け入れ先となる事業主のことです。1号特定技能外国人の義務的支援や、任意的支援が求められます。

特定技能の対象は以下の19分野で、分野ごとに令和11年3月までの受け入れ見込み数が決まっています。

分野令和11年3月までの受け入れ見込み数
介護126,900
ビルクリーニング32,200
リネンサプライ4,300
工業製品製造業199,500
建設76,000
造船・舶用工業23,400
自動車整備9,400
航空4,900
宿泊14,800
自動車運送業22,100
鉄道2,900
物流倉庫11,400
農業73,300
漁業14,800
飲食料品製造業133,500
外食業50,000
林業900
木材産業4,500
資源循環900

出典:
出入国在留管理庁|特定技能1号の各分野の仕事内容
出入国在留管理庁|特定技能1号の受入れ見込数及び在留者数について(令和8年7月末時点・速報値)

特定技能所属機関は日本の産業における人手不足を補うため、制度的な支援体制を整えたうえで、外国人労働者を受け入れる重要な役割を担っています。

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特定技能所属機関が満たす必要のある基準

特定技能外国人を自社支援で受け入れる企業は、外国人材が安心して働けるよう基準を満たす必要があります。

主な基準は以下のとおりです。

満たさなければいけない基準
  • 労働者雇用に関する法律を遵守している実績がある
  • 外国人を雇用しサポートした実績がある
  • 外国人が働きやすい体制を整える
  • 欠格事由に該当しない
  • 1年以内に行方不明者を発生させていない

上記の基準すべてを満たすことが外国人材を受け入れる前提条件です。

それぞれの基準を解説していきます。

労働者雇用に関する法律を遵守している実績がある

特定技能所属機関として外国人を受け入れるためには、法務省が定める基準を満たさなければなりません。

労働基準法をはじめ、雇用に関する基本的な法令を、日本人・外国人といった区別なく、すべての従業員に対して遵守してきた実績が必要です。

以下の法律を遵守している実績が重視されます。

遵守しなければいけない実績
  • 出入国管理法令
  • 労働関係法令
  • 社会保険関係法令
  • 租税関係法令

法律を遵守していることの証明として納税証明書などの必要書類を、在留資格申請時に出入国在留管理庁に提出し、審査を受けます。

外国人を雇用しサポートした実績がある

自社で特定技能外国人を支援する特定技能所属機関になるためには、直近2年間に外国人材の受け入れや支援に関する経験が必要です。

支援経験は、以下のいずれかの基準を満たすことで認められます。

満たさなければいけない基準
  1. 過去2年間に中長期在留者(就労資格に限る)の受け入れ実績があり、支援責任者と事業所ごとに1名以上の支援担当者を選任している
  2. 過去2年間に中長期在留者(就労資格に限る)の生活相談業務に従事した経験のある役員又は職員の中から、支援責任者と事業所ごとに1名以上の支援担当者を選任している
  3. 1および2に該当するものと同程度の支援を適正に実施できると出入国在留管理庁長官が認める場合

出典:法務省|特定技能外国人受入れに関する運用要領

外国人が働きやすい体制を整える

特定技能所属機関は、1号特定技能外国人を支援しなければいけないと定められています。任意的支援は支援が望ましいとされていますが、義務的支援は必ずおこなわなければいけません。

義務的支援には、以下の内容が含まれています。

義務的支援の項目
  1. 事前ガイダンスの実施
  2. 出入国する際の送迎
  3. 住居確保・生活に必要な契約支援
  4. 生活オリエンテーション
  5. 公的手続等への同行
  6. 日本語学習の機会の提供
  7. 相談・苦情への対応
  8. 日本人との交流促進
  9. 転職支援(人員整理等の場合)
  10. 定期的な面談・行政機関への通報

出典:出入国在留管理庁|1号特定技能外国人支援・登録支援機関について

これらの義務的支援を適切に実施すれば、外国人材が日本での生活や仕事に円滑に適応できる環境が整います。

なお、支援計画と義務的支援は、登録支援機関への委託が可能です。登録支援機関とは、出入国在留管理庁長官の登録を受けた、特定技能外国人の支援を専門に行う機関です。

猪口 裕介

専門の方に任せれば、自社の業務に専念できるメリットがあります。

登録支援機関の役割や支援内容については以下の記事で詳しく解説しています。

欠格事由に該当しない

法令に違反し罰則などのペナルティを受けたり、事業に必要な許可を取り消される状況や行為に該当したりすることを「欠格事由」と呼びます。特定技能外国人を受け入れる機関として認められるためには、欠格事由に該当しない必要があります。

以下のいずれかに該当する事業者は、特定技能外国人材を受け入れることができません。

欠格事由
  • 労働関連法令に違反する行為
  • 技能実習認定の取り消し
  • 暴力団排除の観点からの欠格事由
  • 特定技能所属機関の行為能力・役員等の適格性に係る欠格事由
  • 保証金の徴収・違約金契約等による欠格事由

出典:法務省|特定技能外国人受入れに関する運用要領

特定技能所属機関として外国人材を受け入れるためには、法律で定められた「欠格事由」のいずれにも該当しないことが必須条件です。

1年以内に行方不明者を発生させていない

特定技能所属機関は過去1年以内に、「企業の責めに帰すべき事由」により外国人を行方不明にさせてはいけません。受け入れ企業側の責任で外国人が行方不明になった場合、受け入れ体制は不十分だと判断されてしまうためです。

以下は「企業の責めに帰すべき事由」の具体例です。

企業の責めに帰すべき事由とは
  • 雇用条件通りに賃金を支払わない
  • 支援計画を実施しない
  • 法律違反や基準に適合しない行為をおこなった

出典:法務省|特定技能外国人受入れに関する運用要領

外国人が失踪した場合は14日以内に届け出義務があり、手続きをおこなわないとペナルティが科される可能性があります。

猪口 裕介

行方不明者発生が影響するのは、特定技能雇用契約締結の直前1年間、または契約締結以降に発生した場合のみです。

特定技能所属機関は地域と連携した支援が求められる

令和6年3月の閣議決定で、特定技能1号の外国人材を5年間で82万人受け入れる見込みが設定されました。令和8年1月の閣議決定では、令和11年3月までの受け入れ見込み数が19分野で計80万5,700人に再設定されています。

令和7年4月1日からは、支援計画の作成・実施にあたり、自治体の多文化共生施策を踏まえ、自治体の協力要請に応じることが義務になりました。あわせて、市区町村への「協力確認書」の提出も必要です。

以下の支援を求められる可能性があります。

求められる支援の一例
  • アンケート調査やヒアリングの協力
  • 防災訓練や防災対応などに関する案内
  • 地域イベントへの参加
  • 日本語教室の開催案内

日本国内の外国籍の住民は、令和8年1月1日時点で総人口の約3.3%を占めるまでに増えています。地域全体で多文化共生社会を実現するうえで、受け入れ機関と自治体、地域住民が連携した支援の重要性が高まっています。

特定技能所属機関と登録支援機関の違い

汎用

特定技能制度における企業や団体の役割は、特定技能外国人を受け入れる機関と登録支援機関に分けられます。自社で上記の基準を満たすことが難しい場合は、登録支援機関への委託ができます。

特定技能所属機関と登録支援機関の違いは、以下のとおりです。

特定技能所属機関登録支援機関
立場特定技能外国人の雇用主特定技能所属機関を支援する外部組織
役割働く場の提供、支援の最終責任を負う義務的支援業務の代行やサポート
支援の実施自らおこなう委託された業務をおこなう

特定技能所属機関は、外国人に対し法令で定められた支援の最終責任を負い、登録支援機関はそれを専門にサポートする専門組織です。

登録支援機関に外国人労働者の支援を委託する3つのメリット

生活オリエンテーションの実施や行政手続きのサポートなど、義務づけられている支援を自社だけでおこなうのは限界があります。サポートを委託すれば時間と労力を削減できます。

支援を委託するおもなメリットは、以下の3つです。

支援を委託するメリット
  • 専門家の対応により法令違反のリスクが軽減される
  • 自社の業務に専念できる
  • 外国人とトラブルがあった際に対応してもらえる

外国人雇用の経験が少ない、外国人材に対応した言語を話せる社員がいない場合、登録支援機関への委託を検討すべきです。

以下の記事で、具体的なメリットを詳しく解説していきます。

専門家の対応により法令違反のリスクが軽減される

入管法・労働法規の専門家である登録支援機関は、複雑な特定技能の手続きや支援を正確に代行してくれます。受け入れ経験がない企業にとって、専門的な支援を受けることは不安を大きく軽減できるのがメリットです。

また、特定技能制度は2019年に開始された新しい制度であり、今後も内容が変わる可能性があります。

知らずに法律違反を起こすリスクも考えられるので、最新情報に精通した専門家に任せたほうが安心です。

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自社の業務に専念できる

義務的支援だけでも10項目あり、特定技能外国人への支援内容は多岐にわたります。さまざまな支援を自社でおこなうためには、社員教育や支援体制の構築など多大な時間と労力が必要です。

しかし、登録支援機関に委託すれば、専門家が必要な支援を代行してくれます。人的・時間的リソースの節約になり、本来の業務に専念できるのも委託のメリットです。

義務付けられている外国人受け入れ状況等の各種報告書の提出も、委託すれば登録支援機関のサポートが受けられます。

外国人とトラブルがあった際に対応してもらえる

日本人でも日本語を難しいと感じる場面はあり、日本語が未熟な外国人は細かなニュアンスまで理解するのは難しいです。また、雇用契約書などは専門用語が多く、誤解がトラブルに発展するケースも少なくありません。

登録支援機関には母国語通訳を行える体制があるため、トラブルが起こったときでも外国人が理解できるよう助言や対応をしてくれます。

第三者の視点からのアドバイスは、問題の早期解決につながります。

猪口 裕介

特定技能所属機関にも、外国人材にとっても大きな安心感につながります。

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特定技能所属機関に関するよくある質問

Q&A

最後に、特定技能所属機関に関するよくある質問をまとめます。

特定技能所属機関になるには、認定や登録が必要ですか?

受け入れ企業として認定や登録を受ける必要はありません。外国人本人の在留資格の審査で、受け入れ企業が雇用契約や支援体制などの基準を満たしているかが確認されます。

分野ごとの協議会に加入していることも、この審査で確認されます。一方、支援を受託する登録支援機関は出入国在留管理庁長官の登録を受ける必要があり、この点が両者の手続きの大きな違いです。

登録支援機関には、どこまで支援を委託できますか?

1号特定技能外国人支援計画の実施は、全部または一部を委託できます。全部を登録支援機関に委託した場合は、受け入れ企業が満たすべき支援体制の基準を満たしたものとみなされます。

一部だけの委託では、このみなし扱いは受けられません。また、登録支援機関が受託した支援業務の全部を、さらに別の機関へ委託することは認められていません。委託しても、雇用契約に関する届出など雇用主としての義務は受け入れ企業が担います。

登録支援機関に委託せず、自社で支援するための基準は何ですか?

過去2年間に就労資格の中長期在留者を適正に受け入れた実績などがあり、役員・職員の中から支援責任者と事業所ごとの支援担当者を選任していることが主な基準です。外国人が十分に理解できる言語で支援できる体制も必要です。

2027年4月1日からは、支援責任者と支援担当者を、事業所ごとに常勤の役員・職員から選ぶ必要があります。支援業務をおこなえるのも、この2者に限られます。

特定技能所属機関は、どんな届出をしなければなりませんか?

雇用契約の変更・終了や支援計画の変更などがあったときの随時届出と、年1回の定期届出があります。随時届出は、事由が生じた日から14日以内に提出します。

定期届出は、4月1日から翌年3月31日までの1年間の受け入れ・活動・支援の状況を、その後の4月1日から5月31日までに提出します。支援を全部委託している場合は登録支援機関と連名で届け出ます。定期届出を出していないと、受け入れは原則認められません。

特定技能所属機関の役割を知って外国人雇用の準備を進めよう

汎用

特定技能所属機関は雇用主として、外国人労働者への支援責任を負います。登録支援機関に委託する選択肢もあるため、自社の体制やリソースに応じて判断が必要です。

本記事を参考に、適切な支援方法を検討してみてください。

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監修者プロフィール

石原 純
石原 純一般社団法人 日本料飲外国人雇用協会 支援本部 本部長
国内最大手の監理団体にて技能実習制度の前身となる「研修制度」時代より、海外人材の教育や指導、支援スキームの構築に携わり、現場の統括責任者や代表職などを歴任。海外人材事業18年のキャリアで技能実習生の入国時教育など、延べ10,000名以上のグローバル人材への指導実績をもつ。現在は当協会の支援本部長として、企業・外国人材向け教育研修プログラムの設計と講師を務める。
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