※2026年10月までの発表資料を元に作成
「育成就労制度の利用を検討中だからメリット・デメリットを知りたい」
「もし問題点があるなら対応策も教えてほしい」
このような悩みをお持ちの方も多いでしょう。
育成就労制度は、長期的な外国人材の受け入れを目的とした制度です。技能実習制度の後継として2024年に成立した改正法で創設され、2027年4月1日に施行されます。
育成就労制度は、人手不足の解消や長期雇用を見据えた人材確保といったメリットがある一方、雇用にかかる費用負担の拡大や受け入れ可能な職種の減少といったデメリットがあります。
制度の良い面を最大限に活かしたい方は、デメリットに対する対応策を事前に考えておきましょう。
本記事では、育成就労制度のメリット・デメリットをわかりやすく解説します。制度の問題点における対応策も紹介しているので、記事を参考に制度の導入準備を進めてみてください。
育成就労制度とは【わかりやすく解説】

育成就労制度は、人材確保と人材育成を目的とする制度です。技能実習制度を見直した新たな制度として注目されています。
技能実習制度は、国際貢献を目的に、発展途上国等の外国人に日本の技術や知識を教えるための制度です。廃止が決まった主な理由は、技能実習生を不当に働かせる企業が増え、本来の制度の目的と実際の運用にズレが生じたためです。
現在、技能実習は廃止に向けた移行期間の段階です。2027年4月1日に育成就労制度が施行され、同日から育成就労外国人を受け入れられるようになります。2026年9月1日からは、施行日前の育成就労計画の認定申請も受け付けられています。※2026年10月までの発表資料を元に作成
以下の記事では、育成就労制度について徹底解説しています。詳細を知りたい方はあわせてご覧ください。

育成就労制度の4つのメリット

育成就労制度の利用は、企業側と外国人材の両方にメリットがあります。
主なメリットは以下の4つです。
- 人材を柔軟に配置できる
- 技能実習生と比べ日本語能力が高い人材を確保できる
- 育成就労外国人の経済的負担が減る
- 育成就労外国人の転籍が可能になる
順番に見ていきましょう。
1.人材を柔軟に配置できる
人材を柔軟に配置できる点も育成就労制度を利用する企業側のメリットです。
技能実習制度は、技術の習得を目的としているため、レジ打ちや清掃などの単純労働は認められません。
しかし、育成就労制度は、労働力としての人材確保が許可されており、特定技能制度と同様の業務に従事することが可能になります。
猪口 裕介柔軟に外国人材を配置できる仕組みは、人手不足に悩む企業にとって助かるポイントです。
以下の記事では、技能実習と特定技能の違いを詳しく解説しています。制度の違いの理解を深めたい方はあわせてご覧ください。


2.技能実習生と比べ日本語能力が高い人材を確保できる
育成就労制度で、特定技能の在留資格を取得する外国人には、一定の日本語能力が求められます。
具体的には就労を開始するまでに、日本語能力A1(数字が低いほど難易度が低い)相当以上の試験(日本語能力試験のN5等)に合格または、それに相当する日本語の講習の受講を済ましておく必要があります。
技能実習制度では、外国人に対してN4程度の日本語能力が推奨されているものの、必須ではありません。※一部日本語能力の指定がある職種あり
最初から一定の日本語能力を持つ外国人を雇用できると、企業には以下のようなメリットがあります。
- 日本語教育の手間を省ける
- 指示が伝わりやすく教育コストを削減できる
- コミュニケーションを取りやすく生産性アップが期待できる
日本語能力の基準が設けられることで、企業は即戦力となる人材を採用しやすくなります。
3.育成就労外国人の経済的負担が減る
育成就労外国人側のメリットとしては、経済的負担が減る点です。
技能実習制度を活用して日本で働く実習生は、「送り出し機関」と呼ばれる専門の仲介業者への派遣手数料は自己負担のため、借金する方も多いです。
出入国在留管理庁が2022年7月に公表した調査では、来日前に母国で借金をしていた実習生(約55%)の借金の平均値は54万7,788円でした。※送り出し機関以外への出費も含む
育成就労制度では、これまで負担していた費用を企業側と育成就労外国人で負担します。送り出し機関が育成就労外国人から受け取れる費用は、月給(所定内月額)の2か月分までです。これを超える分は、受け入れ企業(育成就労実施者)または監理支援機関が負担します。送り出し機関に支払う費用に上限が設けられることで、本人の経済的負担や、借金に伴う不安・ストレスの軽減が期待されます。
4.育成就労外国人の転籍が可能になる
技能実習制度は、本人意向の転籍は原則認められていません。※やむを得ない事情を除く
そのため、過酷な労働環境を強いられたり、不当な扱いを受けたりする状況で我慢して働く外国人も多いです。
育成就労制度では、同じ業務区分内であれば、就労期間や技能・日本語レベルの要件はあるものの転籍が可能です。
自分が納得できる労働条件や働きやすい環境を求めて転職できるため、外国人労働者の人権が守られやすくなります。
育成就労制度の3つのデメリット・問題点


次は、育成就労制度のデメリットに触れていきます。
主なデメリットは以下の3つです。
- 企業側の経済的負担が増える
- 受け入れ可能な職種が狭まる
- 転職されやすい
制度の問題点がわかれば、後述する対応策を活用して適切に対処できます。
1.企業側の経済的負担が増える
育成就労制度では、これまで実習生が支払っていた各種関連費用を企業側も負担することになります。
以下は企業側の負担が求められる費用です。
- 渡航関連の費用(宿泊費・航空運賃)
- 送り出し機関への費用(仲介手数料・研修実施費)
- 教育関連の費用(日本語教育費・教材費)
育成就労外国人の出身地や企業の支援範囲にもよりますが、外国人材一人あたりにかかる負担は、50〜100万円ほどかかるとされています。



受け入れを検討する場合、企業側は資金を事前に確保しておきましょう。
2.受け入れ可能な職種が狭まる
育成就労制度は、特定技能制度と同様の業務が認められるため利便性が向上したものの、受け入れ可能な職種は狭まります。
技能実習制度では、2026年7月29日時点で、技能実習2号への移行対象として96職種174作業が定められています。
一方で、育成就労制度は特定技能1号への移行を前提とするため、従事できるのは特定技能の19分野のうち17分野です。航空と自動車運送業の2分野は、育成就労の対象外とされました。また、技能実習2号の移行対象職種のうち、クリーニング(一般家庭用)、空港グランドハンドリング、ボイラーメンテナンスの3職種も対象外です。※2026年10月までの発表資料を元に作成
企業側は自社の業務が対象に含まれない場合、育成就労制度を利用して外国人を雇用できません。
3.転職されやすい
育成就労制度では、一定の要件のもとで本人の意向による転籍ができるようになります。企業側にとっては、転職されやすくなるというデメリットです。
長期雇用を見据えた人材を確保したいと思っても、転職の決定権は外国人材にあるため安定性は確保できません。
長く勤めてもらいたいなら、外国人が安心して働ける環境を整えていく必要があります。
なお、外国人労働者の定着率を高めるには、教育・研修の質がとても重要です。
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育成就労制度のデメリットを解決する対応策


先ほど挙げたデメリットや問題点には、解消を図る対応策があります。
- 国の助成金を積極的に活用する
- 働きやすい職場環境を整える
詳しく解説するので、導入準備を進める際の参考にしてみてください。
国の助成金を積極的に活用する
企業側の経済的負担は、国の助成金を積極的に活用することによりカバーできます。
以下は外国人労働者を受け入れる企業が活用できる助成金の一例です。
| 助成金の種類 | 助成金の内容 |
|---|---|
| 人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース) | 外国人特有の事情に配慮した就労環境を整備する際にかかる費用を一部助成するもの |
| 雇用調整助成金 | 経営上の理由で事業の縮小を余儀なくされた事業主に対し、従業員の雇用維持にかかる費用を助成するもの |
| 人材開発支援助成金 | 労働者が知識および技術を習得する際にかかる訓練費や準備費の一部を助成するもの |
送り出し機関に支払う手数料や航空運賃などを直接補償してくれるわけではありません。しかし、助成金を上手く活用することで、企業の経済的負担を軽減できます。


働きやすい職場環境を整える
外国人に転職されないためには、働きやすい職場環境の整備が必要です。
以下は、外国人が働きやすいと感じる環境の一例です。
- 母国の文化や宗教への配慮がある
- 定期的な面談を実施して悩みを聞く
- 就労面だけでなく生活面のサポートもする
- 外国人の能力やレベルにあわせた研修・教育を実施する
- 日本人スタッフと処遇や労働条件が同等に扱われている
- 日本人スタッフが事前研修を受けており、外国人に対して理解がある
外国人労働者が抱えそうな不安や不満を想定し、事前に対策を講じると転職リスクを下げられます。
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育成就労制度に関するよくある質問


最後に育成就労制度に関するよくある質問と回答をまとめます。
育成就労制度で外国人は何年働けますか?
育成就労の期間は3年間に定められています。
参考:出入国在留管理庁|育成就労制度の概要
育成就労制度はいつから始まりますか?
2024年に法律が成立し、2027年4月1日に施行されます。
施行日以降、技能実習の新たな受け入れは原則できなくなり、育成就労制度での受け入れが始まります。施行日の時点で技能実習を行っている人などは、経過措置として実習を続けられます。
参考:出入国在留管理庁|育成就労制度の概要
育成就労制度のメリット・デメリットを把握して対策を考えながら外国人を受け入れよう


育成就労制度は、人材を柔軟に配置できたり、技能実習生よりも日本語能力の高い外国人を受け入れられたりするメリットがあります。
その一方で、経済的負担や転職されやすい仕組みなどのデメリットも存在します。
デメリットの部分をよく理解しないまま外国人を雇用してしまうと、経費の予算オーバーや早期離職による採用コストの損失を招きかねません。
本記事で紹介したデメリットを解消するための対応策を参考に、制度を上手に活用して外国人材の受け入れを成功させましょう。
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この資料でわかること
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監修者プロフィール


- 一般社団法人 日本料飲外国人雇用協会 支援本部 本部長
- 国内最大手の監理団体にて技能実習制度の前身となる「研修制度」時代より、海外人材の教育や指導、支援スキームの構築に携わり、現場の統括責任者や代表職などを歴任。海外人材事業18年のキャリアで技能実習生の入国時教育など、延べ10,000名以上のグローバル人材への指導実績をもつ。現在は当協会の支援本部長として、企業・外国人材向け教育研修プログラムの設計と講師を務める。
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